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『日本経済の再興と中小企業政策』【VOL0040】

皆さま、こんにちは。福岡県中小企業振興センターの林です。

 

ブログの投稿をしばらくサボっておりました。申し訳ございません。

皆さまと同じく緊急事態宣言が明けて、溜まっていた仕事に忙殺されていました。

 

さて、この間首相が変わる、衆議院議員選挙が行われると政治的な動きがありました。

岸田新首相の掲げる政策を真に受けるとすると、中間層の再興、格差の是正といったキーワードが目を引きます。

これは、安倍・菅両首相の路線と180度異なる方針であり、デフレ下においては真っ当な政策と思われます。

 

日本は世界第3位のGDPを誇るとされますが、残念なことに一人当たりGDPは24位、来年には韓国に抜かれ、数年以内に台湾にも抜かれることが確定的となっています。

たった30年でここまでの転落ぶりは、やはり政策の誤りが最も大きな要因と考えるべきでしょう。

 

さて、政治の話をすると愚痴ばかりになってしまいますのでこれぐらいして、岸田政権が掲げる政策からすると、中小企業政策は引き続き手厚い支援、具体的には補助金等のメニューの拡充などが行われる可能性があります。

また、金融支援もこれまでどおり猶予の傾向が強い対応となると思われます。

 

一方で、11/1に配信されたニュースによると、補助金の事業運営について、財務省から「本当に必要な人に届いていないのではないか」「特定の事業者に偏っていないか」そして「補助金漬けで競争力強化につながっていないのではないか」という誰もが見て見ぬふりをしてきた現実にツッコミが入ったとのことです。

 

これは財政出動の要請が強まるなかで、財務省が先手を打ってクギを刺したということなのでしょう。

 

もちろん、この指摘はまさに正論です。

たとえば、専門家派遣に寄せられる補助金に関する相談等のうち「補助金採択後の有効活用について」は「補助金に申請したい」の10分の1以下です。

 

日本の中小企業政策は『ぬるま湯」と言われて久しく、補助金についてもこれまでの考え方では効果が薄かったということでしょうから、少なくともこれを改めて新たな手法を検討する時期に来ているのでしょう。

 

すなわち、広く浅くではなく、生産性を高める事業内容、これから伸びる産業、成長志向の強い経営者へ資金を集中投下するという方向へ転換するときなのかもしれません

 

前述のとおり政府による財政出動は、デフレ下においては適当な政策とされますが、一方で日本はすでに先進国としての地位に留まることのできるデッドラインの手前まできていることを認識しておかなければなりません。

 

このような環境変化をきっかけとして、事業者のみならず中小企業支援者も常に初心に立ち返り『自らの足で立つこと』を旨とする必要があるでしょう。

  

新たな政権の適切な経済運営に期待しつつ、日本経済再興のラストチャンスへ共に挑んでいきたいと思います。