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『コロナ支援とモラルハザードVOL0042』

 

皆さま、こんにちは。福岡県中小企業振興センターの林です。

 

コロナ禍も落ち着きを見せ、ポストコロナ対応に追われていることと思います。

コロナは近年稀に見る世界的な危機であり、当然企業にとっても経営上の危機であったかと思います。

 

 

とはいえ、データを見てみると、倒産件数は逆に減っていることが分かります。(下図)

 

 

リーマンショック(20089月)後の20093月には1,537件が倒産しており、その前後の5年間で見ても倒産件数は1,000件前後で推移していたようです。

さらに遡ると、500件前後というのはバブル期よりも少ない件数です。

 

これは、金融機関を通して潤沢な資金供給をし、倒産を食い止めるという政策上の対応が奏功した結果といえます。(下図)

 

 

一方で、これは企業が過剰債務を負うこととなり、(ゼロ金利とはいえ)今後重い返済負担に対応しなければならないことを意味します。

 

また、マクロ経済の観点からは、本来淘汰されて然るべき企業が延命しており、経済社会の新陳代謝が遅れるということをも意味します。

 

比較的経済が安定していたコロナ禍前の数年間のチャンスに足腰の強い企業体質づくりを怠り、金融機関の恩情に寄り掛かりっぱなしであったならば、それはコロナ禍による経営危機ではなく、コロナ禍は単にきっかけであったに過ぎないということになります。

 

あちこちから耳にするところでは、これは決して珍しい話ではなく、モラルハザードが起きているのではないかと危惧されるところです。

 

ポストコロナは淘汰の時代になると予想します。付加価値(GDP)および賃金の向上が不可避である状況で、政府も社会も淘汰を容認することでしょう。

 

皆さんはどのように考えますか。

 

※図はいずれも東京商工リサーチより引用