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『カルネアデスの板』【VOL0046】

こんにちは。専門家派遣プロジェクトマネージャーの林です。

 

コロナ禍に伴ういわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が一斉に始まるとされる来年度を前に、大量倒産の危機についての報道が目立つようになってきました。

 

そうでなくても資源高による倒産が増え始めているとされ、中小企業の行く末に明るい兆しが見られません。

 

翻って世界的な視点で日本を見てみると、前述の資源高は円安に起因するところが大きく、これは金利を正常な水準に戻すことができないためとも言われます。

 

つまり、日本には国としての余力がなく、様々な負担(金利、租税、社会保障等)に耐えられない状況にあると読み取ることができます。

 

さて、だれもが生き延びることに必死な状況でありながらも全員を救うことができないとき、どのような選択をするのでしょうか。

 

『紀元前2世紀のギリシアの海で一隻の船が難破してしまい,船乗り全員が海へと投げ出されました。船乗りAが海でもがいていると一枚の舟板が流れてきました。Aは必死になってその舟板につかまったのですが、同じように海でもがいていた船乗りBが同じ舟板にすがろうとしてきます。この舟板は一人がつかまって生き延びるには十分な大きさですが、二人がつかまると沈んでしまいます。Aは自分が生き延びるためにBを突き飛ばして溺死させます。Aについて、殺人の罪を問うことはできるだろうか』

 

これは古代ギリシアの哲学者カルネアデスが提示した命題です。この命題に対する法学上の結論は、Aについて、殺人の罪を問うことはできないということです。

日本の刑法では、緊急避難として規定されています。

 

ここまで目を通していただいた方は、わたしが何を言わんとしているか理解していると思います。

 

もし、ここでいわば「切り捨て」を行わないとすると、それは巡り巡って国民全員で負担するということとなり、その重さで日本丸の沈没は確定的なものとなるでしょう。

 

産業界が大きく変化しようとしているとき、生き残りは結果として誰かを「突き飛ばす」こととなり、逆もまた然りです。

 

中小企業の皆さまがたの自助的な改善が日本を救うこととなります。

 

もちろん、当センターも専門家派遣を通じて事業の改善をお手伝いします。

どうぞお気軽にご相談ください。